2016年4月19日火曜日

【読書レポート 2016-001】

□書名:『ビックバン・イノベーション~一夜にして爆発的成長から衰退に転じる超破壊的変化から生き延びよ~』
□著者:ラリー・ダウンズ/ポール・F・ヌーネス 共著
□出版社:ダイヤモンド社
□発行:2016.2





 爆発的な成長により、わずかな日数で既存ビジネスを破壊する「ビックバン・イノベーション」。その破壊的メカニズムを解明している。

1.ビックバン・イノベーションの定義

 ビックバン・イノベーションとは、「安定した事業を、ほんの数か月か、時にはほんの数日で破壊する新たなタイプのイノベーション」のことである。
 これをもたらした背景の1つは、IT革命だ。
 1965年、インテルのファウンダーの一人、ゴードン・ムーアは、「ムーアの法則」を発表する。
 
 半導体性能は1.5年で倍増し、その価格は半減する。

 このムーアの法則は2020年までは確実に成立し、それ以降のポスト・ムーアの時代に突入するという《日経エレクトロニクス 2015.4月号 特集「さらばムーアの法則」》。

 この指数的に進化する技術こそが、破壊的製品やサービスを世に出すプラットフォームだ。

2.ビックバン・イノベーションによる破壊的製品やサービスの特徴

 ビックバン・イノベーションによる破壊的製品やサービスの特徴は、以下の3つである。

①枠にとらわれない戦略
 ポーターの競争優位戦略論に従えば、企業は3つの基本戦略のうちのいづれか1つに集中すべきだとされてきた。

「競合よりもよいか、安いか、あるいは狭い市場セグメントに特化した製品・サービスを提供する」。

 ところが、破壊的製品やサービスは市場に登場した時点で、既存企業の製品やサービスよりも「よりよく、より安く、よりカスタマイズされている」。つまり、従来の「枠に全くとらわれていない」。

②とめどのない成長
 破壊的製品やサービスは、登場するや否や、急成長し、市場を独り占めする。

③自由奔放な開発
 ビックバン・イノベーションを実現する企業は、既存部コントソフトウエアとを組み合わせた低コストの実験を矢継ぎ早に試みる。製品テストは市場で直接行われ、ユーザーがパートナーや資金提供者となって、製品作りに参加する。

3.ビックバン・イノベーションによる3つのコスト低減

 ビックバン・イノベーションは、以下の3つの「コスト低減」によって、産業組織や競争、戦略を本質的に変える。

①製造コストの低減
指数関数的技術がコストを低減させることで、高品質の製品を低価格で提供できる。

②情報コストの低減
インターネットで多くの情報を得られるようになった消費者が、「とめどない成長」を促す。

③実験コストの低減
ビックバン・イノベーションを実現する企業は、製品を一から設計しない。すでにある部品を再利するという、安価でリスクの少ない方法を選び、製品やサービスにわずかな特徴をつけ加えることで差別化を図る。

4.ビックバン・イノベーションの注意点

 既存技術の絶妙な組み合わせとビジネスモデルとがうまく合わさった時、一気に顧客が殺到する。爆発的に売れた場合、すぐに市場は飽和状態に達する。よって、ビックバン・イノベーションを
起こした企業は、次の「準備」を怠ってはならない。急激な売上の後には、急激な落ち込みがやってくる。
 すかさず、次のことを準備しておく必要がある。
 ●次の破壊的製品やサービスを投入する準備
 ●その市場を後にして、手元の資産を別の産業に投じる準備 をしておかなければならない。

  (の)
 




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